「バイト中に怪我をしたら、治療費はどうなるんだろう」
そう不安になったことがある人は、少なくないはずです。
アルバイトやパートは正社員と違って、保険について、
しっかり説明を受けないまま働き始めることも多く、
いざという時にどうすればいいか分からない人も、
多いのではないでしょうか。
結論から言うと、アルバイトも労災保険の対象になります。
雇用形態に関係なく、労働の対価として賃金を、
受け取っているなら、労災保険は使えます。
この記事では、アルバイトが労災保険の対象になる条件や、
業務中・通勤中どんなケースが当てはまるのか、
実際に受けられる補償の内容、申請の流れまで、
まとめて解説します。
アルバイトも労災保険は使える?対象になる条件
まずは、アルバイトが労災保険の対象になる、
一般的な条件から確認していきましょう。
雇用形態に関係なく「労働者」なら対象になる
労災保険は、正社員・契約社員・パート・アルバイト・日雇いなど、
雇用形態や呼び方に関わらず、
労働の対価として賃金を受け取っている「労働者」であれば、
原則として全員が対象になるとされています。
週1日だけのシフトや、短時間の勤務であっても、
対象から外れるわけではありません。
労働時間の長さや雇用契約の期間によって、
対象かどうかが変わる社会保険とは、
この点が大きく異なります。
会社が労災保険に入っていなくても給付は受けられる
労災保険は、要件を満たす事業所であれば、
加入が義務づけられており、保険料は、
全額会社が負担する仕組みになっています。
アルバイト自身が保険料を負担することはありません。
仮に会社が加入手続きを怠っていた場合でも、
労働者が保険給付を受けられなくなるわけではない、
とされています。会社の手続き漏れは会社側の責任であり、
その分の補償が受けられなくなることはない、
という考え方です。
労災保険が使えるケース・使えないケースの具体例
どんな状況が労災の対象になるのか、
業務中と通勤中に分けて具体的に見ていきましょう。
仕事中のケガ・病気(業務災害)の例
仕事の作業中に転倒してケガをした、
重い荷物を運んでいて腰を痛めた、
調理中に火傷をしたなど、業務が原因で起きたケガや病気は、
「業務災害」として労災の対象になるとされています。
休憩時間中や、業務と関係のない私的な行動中に、
起きたケガは、対象外と判断されることが多いため、
注意が必要です。
通勤中の事故(通勤災害)の例
自宅からバイト先までの通勤途中に、
交通事故に巻き込まれてケガをした場合も、
「通勤災害」として労災の対象になるとされています。
ただし対象になるのは、合理的な経路・方法で、
移動している間に限られます。
通勤の途中で買い物や食事などの私用に寄り道した場合、
その間に起きた事故は対象外になることがある、
とされているため、覚えておくとよいでしょう。
対象になりにくいケース
休憩中に私的な用事で外出していた場合や、
通勤経路を大きく外れて私用に立ち寄っていた間の事故など、
業務や通勤との関連性が認められない場合は、
労災の対象になりにくいとされています。
自分のケースが対象になるかどうか迷ったときは、
自己判断せず、勤務先や労働基準監督署に、
確認するのが確実です。
労災保険で受けられる補償の内容
実際に労災が認められると、どのような補償を、
受けられるのか、主なものを見ていきましょう。
治療費は基本的に自己負担なし(療養補償給付)
労災保険が指定している医療機関(労災病院や、
労災指定医療機関)を受診した場合、
治療費を窓口で支払う必要はないとされています。
指定外の医療機関を受診した場合は、
いったん治療費を立て替え、あとから、
労働基準監督署に請求して払い戻しを受ける流れ、
になるとされているため、この違いは、
覚えておきたいポイントです。
仕事を休んだ分の補償(休業補償給付)
ケガや病気で仕事を休み、給料が支払われない状態が、
続くと、休業4日目から休業(補償)給付を、
受けられるとされています。
労働基準法上の休業補償の考え方をもとにした、
一般的な割合として、休業前の給与のおよそ6割に、
休業特別支給金として2割程度が上乗せされ、
あわせて8割程度が補償される仕組みとされていますが、
細かい計算方法はケースによって異なるため、
具体的な金額は労働基準監督署に、
確認するのが確実です。
後遺障害が残った場合などの補償
ケガの程度によっては、治った後も体に、
障害が残ってしまうことがあります。
そうした場合には、障害の程度に応じた、
障害補償給付を受けられる制度も、
用意されているとされています。
アルバイトだからといって、正社員より補償が、
軽くなるようなことはないとされています。
アルバイトが労災を申請するときの流れ
実際に労災が起きたときは、どのような順番で、
手続きを進めればよいのか整理しておきましょう。
まずは会社に報告し、病院を受診する
ケガや事故が起きたら、まずはできるだけ早く、
勤務先の店長や担当者に報告しましょう。
労災であることを伝えたうえで、労災保険を、
使いたい旨も併せて伝えておくと、
その後の手続きがスムーズです。
そのうえで、できれば労災指定の医療機関を、
受診し、治療を受けます。
労災保険の申請書類を準備する
労災保険を使うには、所定の請求書(様式)に、
必要事項を記入し、労働基準監督署や、
受診した医療機関に提出する必要がある、
とされています。
請求書には、会社側に記入・証明してもらう欄が、
含まれているため、勤務先に協力してもらいながら、
準備を進めるのが基本的な流れです。
書類の様式や提出先は、業務災害か通勤災害かによって、
異なる場合があるため、迷ったときは、
労働基準監督署に確認しましょう。
会社が協力してくれないときの対応
中には、労災の手続きに協力的でない会社も、
残念ながら存在するようです。
その場合でも、会社の証明欄が空欄のまま、
労働者自身で労働基準監督署に申請できるとされています。
会社が証明を拒否すること自体は、
労災隠しとして問題になりうる行為とされているため、
まずは労働基準監督署に無料で相談できます。
対応に困ったときは、労働基準監督署や、
労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
申請するうえで知っておきたい注意点
最後に、アルバイトが労災保険を使ううえで、
知っておくと安心できるポイントを整理します。
労災保険料をアルバイト自身が負担することはない
労災保険の保険料は全額会社が負担する仕組みのため、
給料から労災保険料が天引きされることはありません。
もし給与明細に見慣れない天引き項目があった場合は、
労災保険料と混同していないか、
勤務先に確認してみるとよいでしょう。
同じ「保険」でも、健康保険や厚生年金など、
社会保険とは、加入条件や保険料の負担のしかたが、
異なります。社会保険の加入条件や扶養の壁について、
詳しく知りたい方は、
アルバイトの社会保険、いつから入る?加入条件と扶養の壁を学生・主婦・フリーター別に解説も、
あわせて確認しておくと、労働にまつわる保険の全体像が、
つかみやすくなります。
掛け持ちバイト中のケガはどうなる?
複数のバイトを掛け持ちしている場合、
ケガをしたのがどちらの勤務中だったかによって、
労災の請求先が変わるとされています。
休業補償の金額を計算する際には、
掛け持ち先を含めた収入をもとに算定される場合がある、
ともされているため、掛け持ち中にケガをした場合は、
両方の勤務先の情報を伝えたうえで、
労働基準監督署に相談するとよいでしょう。
アルバイトも労災保険は使える?対象条件と申請の流れ、もらえる金額の目安を解説:まとめ
アルバイトも、雇用形態に関わらず労災保険の対象になり、
業務中・通勤中のケガや事故で使える制度です。
治療費や休業中の補償を受けられる場合があるため、
もしもの時は、自己判断で我慢せず、
早めに勤務先や労働基準監督署に相談しましょう。
・会社が保険未加入でも労働者は給付を受けられる
・業務中・通勤中のケガや事故が主な対象になる
・治療費や休業中の補償を受けられる制度がある
・会社が非協力的でも自分で労基署に申請できる
制度の細かい条件や給付額は、個々の状況によって、
異なる場合があるため、正確な内容は、
労働基準監督署や勤務先に確認しながら、
進めるようにしてください。
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